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エッサイ

2014 / 02 / 24

一発勝負

一発勝負

僕は、いわゆる一発勝負に弱い。たしか小学校の高学年のころだったと思うけれど、
担任の教師から、「佐藤は、一発勝負に弱いからなあ・・・」と言われたのをはっきりと憶えている。
そんなことをなぜ言われたのか、きっかけは思い出せないが、教師の予想は、その後の人生でちゃんと的中した。
絶対にだいじょうぶだと言われた大学も落ちたし、就職もうまくいかず、結局、就職浪人するはめになった。
だから、賭け事のような勝負事にはまったく才能がないし、自分でもうまく行くと思わないから興味もわかない。

そんなこんなで、会社に入る前は、将来やっていけるかのだろうかと心配していたが、
会社づとめでは、むしろ一発勝負なんて、あまりないのだった。とても無理だと思われるような高い飛び箱に挑戦させられるわけでもないし、
会社の命運を賭けたような大プレゼンテーションにも巡りあわなかった。負けたらヤバイな、と思うようなプレゼンテーションはあったが、
うまくしたもので、チームの中に、それらしき一発屋風な人間がたいていは居たからだ。そういう人間は、さすがに勘が鋭い。
「いや、ここは得意先の裏をかきましょう」なんてことを、平気で言う。そいつの言うとおり、
ひとつだけアニメバージョンの案を潜りこませていたら、先方が本当にそれを選んで、命拾いしたこともあった。

そもそも、なぜ一発勝負になるかというと、時間と空間を特定されてしまうからだ。
大学入試のようなものを半年もかけてダラダラとやることはできないし、賭け事でも、まあ、ここはお互いに損するよりも、
じっくり賢い手を考えませんか、なんて言っている場合ではない。そこは、相手もここ一番の大逆転をねらって、勝負に出てきている鉄火場なのだ。

オリンピックだってそうだ。みんなの期待を背負って、絶対金メダルと言われていたって、一発勝負で負けることはある。
これから雪解けの季節まで、全女子選手、毎日、ソチのジャンプ台でノーマルヒルを飛んでみたらどうか。絶対に、高梨沙羅選手が勝つに決まってるって・・・。

そうなんです。今回は高梨選手のことが書きたかっただけで、自分のことまで引き合いに出して、
まわりくどいことを書いてしまったのです。高梨沙羅さん、この文章をあなたが読むとは思わないけど、
オジサンは応援してるよ。もちろん、これからの長い人生を含めて。