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旅歩き

2014 / 09 / 18

多賀大社(たがたいしゃ)

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多賀大社(たがたいしゃ)

多賀大社(たがたいしゃ)

今年の夏ももうそろそろ終わりかな、といった感じのある日、思いたってたずねたのが、北近江の多賀大社。
JR彦根駅から、近江鉄道(多賀線)に乗り換えて15分くらい、終点の多賀大社前駅で下車。駅のまわりは、やっぱり田んぼや畑が多い。ちょうど収穫前の稲の穂が黄金色に輝いていました。

多賀大社写真

駅前からは、絵馬通りというけっこう長い参道が続き、途中には、名物の「糸きり餅」を売るお店や、いかにも古そうな看板のお店がいくつか並んでいる。

多賀大社が、その名を全国にとどろかせているのは、ここに祀られている神様が、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ:男神さま)と伊邪那美大神(いざなみのおおかみ:女神さま)
というたいへんご立派な神様だから。そう、伊勢神宮に祀られている天照大神(あまてらすおおみかみ)のお父様とお母様にあたる神様なのだ。
そういえば、駅舎の観光案内所に、「お多賀さん」とも呼ばれる多賀大社の由来について、迫力のある手書きのポスターが張ってありました。ちなみに、ご利益(りやく)は、延命長寿、厄除け、縁結び、家内安全、交通安全と、たくさん。

それもそのはず、伊邪那岐大神と伊邪那美大神が、お生みになられたのは、天照大神だけではありません。八百万(やおよろず)の神々をはじめ、
私たち人間、そして一木一草にいたるまで、お生みになられたのだから、そのお二人が祀ってある多賀大社は、やっぱりスゴイところ。

左|由緒ありそうな「糸切餅」屋さんの看板 / 右|お伊勢お多賀の子でござる!左|由緒ありそうな「糸切餅」屋さんの看板 / 右|お伊勢お多賀の子でござる!

境内の入口の大鳥居の前に立って、すぐ目に飛び込んで来たのは、とんでもなく傾斜のついた、石の太鼓橋。いったいどうして渡るのだろう。
よくみると、橋板の端っこあたりに、それをつかんでよじ登るのか、鎖が取り付けられている。―「コレ、私はパス」と、脇を通り過ぎようとしていたら、
後ろからやって来たおじいさんとおばあさんの二人連れが、何のためらいもなく急斜面にチャレンジを始めた。心配しながら見つめていると、
橋を渡っているというよりは、なんだか、へばり付いている感じ。登るときよりも、むしろ向こう側に降りるときの方が大変そう…。

左|急傾斜の「太閤橋」 / 右|お二人の果敢なチャレンジに思わず拍手!左|急傾斜の「太閤橋」 / 右|お二人の果敢なチャレンジに思わず拍手!

この多賀大社の見所のひとつともいえる、この太鼓橋の名前は「太閤橋(たいこうばし)」

名前の由来は、戦国時代、天下統一をなしとげた、あの太閤秀吉からとられたのだそう。病にかかった母親の大政所(おおまんどころ)の病気平癒をねがった秀吉が、
多賀大社に祈願。祈りのかいもあって、大政所の病気はなおり、秀吉はお礼にと米一万石を大社に奉納。その奉納によって造られた太鼓橋だから「太閤橋」。

そして、境内にある美しい奥書院の庭園も、その奉納でいっしょに造られたものだそう。庭は国指定の名勝にも指定されている。有料だけれど、見学も可能。時間があればぜひ見ておきたいポイントです。

やがて御神門をくぐると、やはりドーンと迫力。澄み切った青空、背後にそびえる緑の木立、そして、拝殿から本殿へと続く、鳳凰が羽を広げたような甍(いらか)の重なりが、優美なお姿を見せていました。

左|背後の雲にもパワースポットを感じました。 / /右|これが「絵馬通り」の由来の神馬でしょうか。左|背後の雲にもパワースポットを感じました。 / /右|これが「絵馬通り」の由来の神馬でしょうか。

拝殿で、二拍手、一礼して、おごそかにお参り。手元のいただいたパンフレットを見ると、桜の時期には、境内のしだれ桜、秋には紅葉と、四季おりおりの風景も楽しめそう。
また、新年の行事から、節分祭(2月)、春の古例大祭(多賀まつり 4月)、御田植祭(6月)、万灯祭(8月)、古例祭(9月)などなど、通年の行事もたくさんで、年間の参詣者は約170万人を数えるとか。

無事、お参りを終わって境内を背にすると、通りをはさんで何軒か並ぶおみやげもの屋さんのうち、大きな杓子(しゃくし)を看板にかかげたお店が目に。
なんでも、奈良時代の元正(げんしょう)天皇の病気に際し、多賀大社の神主が、強飯(こわめし)を炊き、しでの木で作った杓子を献上したところ、天皇の病気は無事に治り、以来、「お多賀杓子」として、名物になったのだそう。

聞けば聞くほど、知れば知るほど、歴史と由緒のある多賀大社。みなさんも、ぜひ一度、機会をみて、「お多賀さん」をたずねてはいかがでしょうか。

大きなお多賀杓子を看板にした境内の前のみやげもの屋さん大きなお多賀杓子を看板にした境内の前のみやげもの屋さん