川端(かばた)
川端(かばた)
川端と書いて、「かばた」と読む。滋賀のことをあまり知らない人でも、「たしか、川の水を家に引いて、鯉とか飼っている・・。あれ滋賀県じゃなかった?」と、川端のことをあげる人がいる。天然の水といっしょになったくらしは、一度、テレビで見たら、きっと忘れられない映像なのだろう。
川端の水は、川の水というよりも、湧き水。比良の山々に降った雪や雨が、地下水になり、湖西、高島地区の平野に湧き出たもの。そして、地元の人たちは、この湧き水を、親しみをこめて、「生水(しょうず)」と呼ぶ。
琵琶湖の西、湖に流れこむ安曇川(あどがわ)の少し北に、川端の生活をいとなむ針江(はりえ)地区がある。昔ながらの家々が並ぶ、かわいらしい集落だ。それぞれの家のそばには水路があり、その中を、透き通るようなきれいな水が勢いよく流れている。よく見ると、その中を、メダカくらいの小さなアユが何匹も泳いでいる。
ここでちょっと川端について勉強してみよう。川端には、家の中にあるものと、家の外にある川端と二種類ある。家の外にあるものでも、雨などが降りこまないように、かんたんな屋根や覆いがかけてある。
川端の仕組みは、家の中のものも、外のものもどちらも同じ。地下から湧いてくる水をまず、「壺池(つぼいけ)」とよばれる部分にためる。この水は、飲水や野菜などを洗ったりする水として利用する。次に、その使った水が向かうのが「端池(はたいけ)」。ここには、必ず、コイやフナなどの魚が飼われている。そして、この魚たちが大活躍するのだ。
端池でお皿やお茶碗など洗ったときに落ちる、ごはん粒や野菜くずなどの食べかすを、全部彼らが食べてくれる。カレーの残りなんて、大好物だそうだ。そして、そうしてきれになった水は、最後は、水路や川をつたって琵琶湖へ。
針江にいくと、すぐに目につくのが、集落の真ん中を流れるきれいな川。夏の季節は、子供たちのかっこうの遊び場でもある。川を少しせきとめて、流れをゆるやかにしたところは、まるで天然のプール。そこで、大はしゃぎで水浴びをする子供たちを見ていると、なんだかこちらまで楽しくなってくる。
「でも、この子供たちも、大きくなったら、針江を出ていくんですか?」とたずねたら、「それが、生水で炊いたごはんが、あんまりおいしいので、若者もここを離れないです」とのこと。ほんとうにうらやましい。
川端と人々のくらしは一体のもの。川端があるところは、家の外にある川端でも、住んでいる人たちの敷地内ということになる。だから、見学には、必ず事前の予約が必要に(予約については、ページ左のリンクを参照)。
そして、予約をすれば、町の人たちが親切にガイドをしてくれる(ガイドは有料)。見学は、短いコースで一時間半くらいの時間だけれど、「こんなくらしも、いいなあ」と、きっと納得。