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旅歩き

2014 / 08 / 16

川端(かばた)

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川端(かばた)

高島市新旭町針江地区の琵琶湖岸風景高島市新旭町針江地区の琵琶湖岸風景

川端(かばた)

川端と書いて、「かばた」と読む。滋賀のことをあまり知らない人でも、「たしか、川の水を家に引いて、鯉とか飼っている・・。あれ滋賀県じゃなかった?」と、川端のことをあげる人がいる。天然の水といっしょになったくらしは、一度、テレビで見たら、きっと忘れられない映像なのだろう。

川端の水は、川の水というよりも、湧き水。比良の山々に降った雪や雨が、地下水になり、湖西、高島地区の平野に湧き出たもの。そして、地元の人たちは、この湧き水を、親しみをこめて、「生水(しょうず)」と呼ぶ。

琵琶湖の西、湖に流れこむ安曇川(あどがわ)の少し北に、川端の生活をいとなむ針江(はりえ)地区がある。昔ながらの家々が並ぶ、かわいらしい集落だ。それぞれの家のそばには水路があり、その中を、透き通るようなきれいな水が勢いよく流れている。よく見ると、その中を、メダカくらいの小さなアユが何匹も泳いでいる。

四角く囲まれているところが壺池。周囲のコイが泳いでいる部分が端池四角く囲まれているところが壺池。周囲のコイが泳いでいる部分が端池

ここでちょっと川端について勉強してみよう。川端には、家の中にあるものと、家の外にある川端と二種類ある。家の外にあるものでも、雨などが降りこまないように、かんたんな屋根や覆いがかけてある。

川端の仕組みは、家の中のものも、外のものもどちらも同じ。地下から湧いてくる水をまず、「壺池(つぼいけ)」とよばれる部分にためる。この水は、飲水や野菜などを洗ったりする水として利用する。次に、その使った水が向かうのが「端池(はたいけ)」。ここには、必ず、コイやフナなどの魚が飼われている。そして、この魚たちが大活躍するのだ。

端池でお皿やお茶碗など洗ったときに落ちる、ごはん粒や野菜くずなどの食べかすを、全部彼らが食べてくれる。カレーの残りなんて、大好物だそうだ。そして、そうしてきれになった水は、最後は、水路や川をつたって琵琶湖へ。

針江にいくと、すぐに目につくのが、集落の真ん中を流れるきれいな川。夏の季節は、子供たちのかっこうの遊び場でもある。川を少しせきとめて、流れをゆるやかにしたところは、まるで天然のプール。そこで、大はしゃぎで水浴びをする子供たちを見ていると、なんだかこちらまで楽しくなってくる。

「でも、この子供たちも、大きくなったら、針江を出ていくんですか?」とたずねたら、「それが、生水で炊いたごはんが、あんまりおいしいので、若者もここを離れないです」とのこと。ほんとうにうらやましい。

左|地区の中心を流れるきれいな川 / 右|見学コースの途中には、おいしいお豆腐屋さんも左|地区の中心を流れるきれいな川 / 右|見学コースの途中には、おいしいお豆腐屋さんも

川端と人々のくらしは一体のもの。川端があるところは、家の外にある川端でも、住んでいる人たちの敷地内ということになる。だから、見学には、必ず事前の予約が必要に(予約については、ページ左のリンクを参照)。

そして、予約をすれば、町の人たちが親切にガイドをしてくれる(ガイドは有料)。見学は、短いコースで一時間半くらいの時間だけれど、「こんなくらしも、いいなあ」と、きっと納得。