日々の生活の中で、よく似た言葉なのに、じっくり考えると全然違うんだ、という言葉がいくつかある。
目標と目的も、そのひとつだと思う。えっ、違うのですか―そう、違うんですね、これが。
大まかなことを言うと、目標のまだまだ奥の方にあるのが、目的。別の言い方をすれば、
目標は、目的を達成するための一里塚、道標にすぎない。例えば、受験生にとって、○○大学に受かることは、
目的達成ではなくて、目標達成にすぎない。大学に入って、こういうことを学びたいという目的があってはじめて、
どこの大学の○○学部を目指すという目標を立てるのだ。その意味では、就職活動も似ているかもしれない。
その会社に入って何をしたいかという目的がないと、とりあえず、内定をとるといった目標を達成した段階で、すべてが終わってしまう。
そして、こうした目標と目的の違いがわかると、いろいろ役立つことがある。先の例でいえば、
どこかの大学に落ちたり、希望の会社から内定をもらえなくても、あまり気にすることはないのだ。
どういうことかといえば、例えば、山登りを考えてみよう。登山家であれば誰しも、目的地が山の頂きであることは間違いない。
だが、頂上にいたるまでのルートはいくつかあるはずだ。頂上までまっすぐ一直線に向かう道もあれば、
少し遠回りに、なだらかなルートをたどってゆく登り方もある。また、一気に頂上をきわめるのも良いけれど、
今日のところは、七合目あたりの山小屋を目標にしようという登り方もあるだろう。
要は、頂上という目的地さえしっかり見据えておけば、今日中に、何合目までたどりつけるかどうかという目標達成は、あまり問題ではないということなのだ。
こんなこと書いたのは、最近の学生たちを見ていると、途中の目標地にまで来たにすぎないのに、
すでに頂上という目的地にたどりついたと勘違いしている人が多いこと、また、少し山道をそれただけなのに、
頂上をすっかりあきらめてしまう人たちが意外に多いことが、気になったからである。