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旅歩き

2014 / 08 / 16

浮御堂(うきみどう)

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浮御堂(うきみどう)

浮御堂外観写真

浮御堂(うきみどう)

これ、浮御堂(うきみどう)って読むんだ、という人も、この写真は、たしかどこかで見たことがあるぞ、と言う人は多いのでは。
滋賀県の観光スポットの紹介や、ポスターには必ず登場するのが、湖西の湖に浮かぶこの御堂。

浮御堂の名前で知られるこのお寺の正確な名前は、海門山満月寺(かいもんざん まんげつじ)。
そして、湖に浮かぶ浮御堂は、千体の仏像を安置する仏堂なのだ。

浮御堂の中には、千体の阿弥陀仏が安置されている浮御堂の中には、千体の阿弥陀仏が安置されている

お寺の建立は平安時代。源信恵心僧都(げんしん えしんそうず *恵心僧都は尊称)という坊さんが、
湖の交通安全と、人々の救いを祈って建てたとされる。恵心僧都という名前は、
たぶん、歴史の教科書にも出て来たと思うけど、往生要集(おうじょうようしゅう)という書物をあらわし、
日本で最初に「阿弥陀さまの極楽浄土」の思想を説いた偉いお坊さん。
また、源氏物語の中に登場する僧侶「横川の僧都(よかわのそうず)」のモデルとも言われるお坊さんでもある。

そんな由緒あるお寺があるのは、JR堅田駅からバスで湖の方向に向かい、出町というバス停で降りて、徒歩7分くらいの場所。

小じんまりとしたお寺の門をくぐると、真正面に、御堂が見える。境内の岸からまっすぐに橋がのびて、その先に、優雅なお姿が。

左|こちらがお寺の門 / 右|芭蕉の「鎖あけて・・・」の句碑左|こちらがお寺の門 / 右|芭蕉の「鎖あけて・・・」の句碑

写真で見たことがあるだけで、まだ訪ねたことのない人は、いったいどのくらい岸から湖に出たところに御堂はあるのだろう、と知りたくありません?

私の足で測っただけだけど、私の足で、岸から御堂までの橋の上を歩いて約24歩の長さ。歩幅70センチくらいなので、およそ17メートルくらいかな。

浮御堂といえば、近江八景のうちのひとつ「堅田の落雁(らくがん)」で有名。落雁とは、
列をなして湖に舞い降りる雁の群れのこと。江戸時代の浮世絵師、安藤広重の浮世絵には、今まさに浮御堂のそばに降りようとするその姿が描かれている。

境内には、江戸時代の俳人、松尾芭蕉がここを訪れて詠んだ、二つの句の石碑が立っている。

鎖(じょう)あけて 月さし入れよ 浮御堂

比良三上(ひらみかみ)雪さしわたせ 鷺の橋

芭蕉は、近江の地と琵琶湖の風景をこよなく愛し、その遺言で、ちょうど琵琶湖をはさんで堅田の対岸に位置する、
膳所(ぜぜ)の義仲寺(ぎちゅうじ)に葬られていることは、以前このサイトでも紹介した。
おそらく芭蕉さん、名月の夜なんか、この美しい浮御堂の夢なんか、うっとり見ているのではないかな。

後ろを振り返ると、芭蕉の句に歌われているとおり、比良山の峰々には、白く美しい雪が映えていた。
比良の暮雪、これも近江八景のひとつ。冬の浮御堂は、少し寒いけど、近江八景の二つが一度に目にできる、ちょっとぜいたくな観光スポットでした。

左|湖面には、ちゃんと「落雁」も / 右|家並の向こうには、遠く「比良の暮雪」が左|湖面には、ちゃんと「落雁」も / 右|家並の向こうには、遠く「比良の暮雪」が