セトレ マリーナびわ湖
セトレ マリーナびわ湖
びわ湖を東西につなぐ琵琶湖大橋の東側のたもとに、昨年秋誕生したのが、リゾートホテル「セトレ マリーナびわ湖」。
湖に面した広い敷地に、全部で14室という、ゆったりとしたつくりが自慢。建物全体が、自然との共生をテーマにしていて、
家具のいくつかは滋賀県産の木材が使われていたり、各部屋のドアを開けると、湖からの風が吹きぬけるような工夫や、
別棟のウェディング用のチャペルの天井には、自然の風で音をかなでるエオリアン・ハープの仕掛けがほどこされていたりする。
ホテルの建築を担当したのは、安藤忠雄建築研究所でも働いていた若手建築家の芦澤竜一(あしざわ りゅういち)さん。
コンクリート打ちっぱなしの部屋の雰囲気など、やはり安藤建築を彷彿とさせる雰囲気が漂う。でも、師とは違った、ところどころに芦澤流のディテールへのこだわりも。
写真のように、土地造成のときに出てきた土を利用して、わざと荒壁の雰囲気をかもし出したり、逆に、地元の伝統技術を活用した大津壁とよばれるツルツルの壁面をこしらえたり。
という具合に、建物を注意深く見て歩くと、いろんな意匠とアートに出会える工夫がそこここに見られる。
また、エントランスホールの壁には、かつてヨシ原が広がっていたころ、湖上を飛んでいたツバメを配したデザインアートなどもあって、
建物を構成する素材とつくり、そして意匠もふくめて、びわ湖の自然との一体感がうまく演出されている感じが見て取れる。
もちろん、すべてレイクビューの14室の部屋も魅力満載。フローリングの床とコンクリート打ちっ放しのモダンな空間は、
ちょっとおしゃれなデザインマンション風。部屋によっては、ベランダにハンモックが吊ってあったりして、のんびり気分に満ちている。
そしてオープン以来、大人気なのが、すてきなチャペル付きのウェディング施設。チャペルのバックは湖に抜けていて、幸せな二人はもちろん、
参列した人たちも生涯の印象に残ることは間違いなさそう。そして耳を澄ますと、天井を吹き抜ける風にかなでられたエオリアン・ハープの音色が聞こえてくる。
カップルの中には、湖上を滑る船からすぐ目の前の桟橋に着いて、ウェディングに向かう二人もいるとか。
施設を案内してもらった後、ちょうどお昼の時間に。ランチには、湖の見えるイタリアンレストランで、ピザとスパゲッティをみんなで取り分けていただくことにした。
ミラノで修行したというシェフの味はさすがで、きれいにお皿に盛りつけられたボリューム満点の前菜だけでも大満足。とくに厨房にしつらえられた専用の窯で焼かれたピザは、
生地にコクがあって、お昼を食べるだけにでも足を運ぶ価値がじゅうぶんにありそう。マザーレイクのほとりに、また新しいロマンチックな空間が誕生したことは、間違いないかと思う。