今回は、少しだけ経済の話を。経済学に限らないが、○○学がわかるということは、その世界の基本的な仕組みがわかる、ということだ。
例えば、インフレって何?という質問に、どう答えるか。
とりあえず、今、君が持っている財布を開いてみよう、1万円は入っていないかもしれないが、千円札は何枚か入っていることだろう。
では、どうしてあなたの財布に、そのお金が入っているのか。親からの仕送り?それともアルバイトをして自分で稼いだのか、
ここはとりあえず、そのお金は、自分がアルバイトで稼いだものだとしよう。そして、仮に財布に5千円あったとして、その5千円とは何だろう。
ちょっとむつかしく言えば、それは、あなたが社会にこしらえた価値に他ならない。その証拠として、あなたがアルバイト先からいただいた証文、それが5枚の千円札なのだ。
もう少しいえば、本当は、アルバイト先から、お給料日に3万円もらって、後はいろいろ使って、その残りが5千円なのかもしれない。
その場合、5千円は価値の使い残しで、あなたが本当に社会にこしらえた価値は、3万円ということになる。そして、使った2万5千円は、他の人が作った別の価値に、あなたが引き換えに渡したということだ。
話をまとめてみると、あなたがこしらえた価値は3万円、別の人がこしらえた価値は2万5千円。合計で、5万5千円の価値が、社会に生まれたことになる。
そして、あなたの財布に5千円が残り、別の誰かの財布に2万5千円があるのだから、お金の合計は3万円。
少しややこしくなってきたかもしれないが、大切なことは、お金の量(3万円)と、作られた価値(5万5千円)とは別物ということ。
そして、お金とは、価値を作ったという証文として使われるものだということ。例えば、ここに日本銀行の人がやってきて、ハイどうぞ、
1万円さしあげますと言っても、世の中全体の価値は変わることはないし、ほとんど意味はない。逆に、作られた価値はそのままで、証文だけがやってきたのだから、
あなたが使い残した証文、5千円の値打ちは当然下がる。これを、経済学ではインフレーションと名づける。
つまり、経済の発展は、ひとりひとりの価値の創造による他はなく、たんにお金だけ刷ることは、せっかく稼いだあなたの財布の使い残しを、
誰かが拝借する、ということに他ならない。こう説明すれば、みんな納得するはずなのに、なぜか最近のニッポンは、逆。お金を刷ることに一生けん命。―ちょっと困った。