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インタビュー

2013 / 05 / 03

狩野 桃江


フリーペーパー「ハピネス」 制作

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ハピネス、それは、くらしの中の小さなたのしみ。

ちょうど一年くらい前、湖東にある素敵なカフェやレストラン、ショップを紹介した小冊子「びわこの東のすてきなところ」をつくったのが、
狩野桃江(かのももえ)さん。お店の選択、そして写真もレイアウトも、本当に素敵。マザーレイクサイトで紹介しているお店の中にも、
この本を参考に取材させてもらったお店がいくつかある。美大でグラフィックデザインを学び、卒業後、隔月刊のフリーペーパー「ハピネス」を発行。
のんびり、ゆったり、まるでマザーレイクのコンセプトそのままの生活を、送っている狩野さんです。

―この「びわこの東のすてきなところ」を作られるきっかけは何だったのでしょうか。

狩野―大学を卒業して間もなく、趣味の世界で、フリーペーパー「ハピネス」を作り始めました。
初めは、作るだけで満足していたのですが、できればいろいろな人に読んでもらいたいと思って、
それを置いてもらうためのお店を回りはじめたのがきっかけです。ですから、「びわこの東のすてきなところ」は、
「ハピネス」の別冊というかたちになっています。

ハピネス別冊「びわこの東のすてきなところ」ハピネス別冊「びわこの東のすてきなところ」

―それまでは、こういった滋賀のお店はよく行かれていたのですか

狩野―それが、全然行ってなかったですね。私の通っていた大学は、湖西の堅田にありましたから、
そこから湖西線でJR山科へ出て、京都のお店の方によく行っていました。山科からなら、地下鉄を利用して、三条あたりの市の中心にすぐ出られますから。

―それが、「ハピネス」を作られたり、こうして滋賀のお店の紹介する冊子を作られるようになったきっかけは?

狩野―「ハピネス」を作るきっかけとなったのは、大学での授業です。入学後すぐに「自分でニュースレターを作る」という課題が出て、
記事を書いたり、写真を撮ったり、インタビューしたり、紙面を考えたり。それが全然うまくできなくて、
リベンジしようと思って学生の間ずっと構成を考えていました。形になったのは卒業後なのですが、置いてもらうところがあまり思いつかなくて。
そのとき、2009年に、学生時代のアルバイト先の人に連れて行ってもらった近江八幡の「尾賀商店」や、
そこでオープンを知った彦根の「VOKKO」へ行って「ハピネス」を置いていただくようになりました。
するとそこにまた別のお店のショップカードがあって、そこへ行ったり、お店の人に「ここなら置いてもらえるんじゃない?」と教えていただいたりして、
わたしも「いろんなお店があるんだなぁ」と知っていったという感じです。きっとわたしのように知らない人がたくさんいるんだろうな、
もっと知ってもらえたらいいなと思ったのが本のきっかけです。

尾賀商店尾賀商店

―「びわこの東のすてきなところ」を作るときに、何か工夫されたことはありましたか?

狩野―若い方だけでなく、いろんな年代の方に手にとってもらえる親しみやすさが出るように心がけました。
お店の人や、そこを訪れたお客さんなどにも写真に登場していただき、温かい感じの誌面になるように心がけました。

―実際に、これを手にとったり、買ってくださった方はどんな人たちだったのでしょうか?

狩野―二通りのいらっしゃると思います。ひとつは、自分の知らないお店が載っているので、買ってくださった方。
もうひとつは、自分がよく知っているお店や、気に入っていているお店が載っているので、買って下さった方。
後者の人たちは、自分が良いなと思っているお店が載っているので、この本は自分の趣味に合っている、と思って買って下さったのだと思います。

―滋賀が大好きな狩野さんですが、これから、滋賀がこうなったらもっといいのに、といったことが、何かあるでしょうか。

狩野―二、三年前まで、県庁の前にある滋賀会館という建物の中に、ミニシアター系の映画を上映していたところがあったのですが、
なくなってしまいました。こういう映画を見たい人たちは、まだたくさんいると思いますし、むずかしいのかもしれないですが、そういった場所があればいいなぁと思います。
あと、例えば京都にあるような、本を独自にセレクトしている本屋さんも、出来たらうれしいです。
古本屋さんなら、滋賀にもいくつかお店かあるのですが。こうしたお店ができたら、もっと素適な滋賀になると思います。

インタビュアーの+α

狩野さんの「びわこの東のすてきなところ」を手にしたのは、このサイトでも紹介した、浜大津のカフェレストラン「なぎさWARMS」が最初。
白バックに角版写真の何気ない体裁の表紙、小じんまりしたサイズ、それなのに「おやっ」と目のとまる、不思議な出会いだったのを憶えている。
ページをめくると、お店のセレクションもさることながら、キャッチ、写真とも唸らせる出来栄えだった。
「えっ、こんな編集のできる人が滋賀にいるの?」と、びっくり。そして、思わず本の奥付をたどると、
桃山時代の狩野一派を彷彿とさせる豪壮なネーム「狩野桃江」の名前が。今回、ゲストに来ていただいて、そのお名前とはうらはらな、
冊子そのままの清楚なご本人に、ますますびっくり。今回のキャッチに使わせていただいた
「ハピネス、それは、くらしの中の小さなたのしみ」は、今の時代の気持ちを反映した名コピーだと思う。

* フリーペーパー「ハピネス」、ハピネス別冊「びわこの東のすてきなところ」(税込850円)が欲しい方は、
http://april-9.jugem.jp/
(販売店が載っています)、またはas.apr.9@gmail.comまで