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味わう

2013 / 05 / 03

日牟禮ヴィレッジ

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日牟禮ヴィレッジ

クラブ・ハリエの日牟禮カフェと日牟禮ガーデンクラブ・ハリエの日牟禮カフェと日牟禮ガーデン

日牟禮ヴィレッジ

今から十数年前のこと。近江八幡市の北、八幡山とよばれる山のふもと、日牟禮(ひむれ)八幡神社の近くに、雑草におおわれた広い土地があった。近江八幡の駅から琵琶湖方向へクルマで10分くらいの場所だ。

地元の菓子屋「たねや」の四代目社長、山本徳次(現会長)は、その荒れ地にたたずみ、思いをめぐらせていた。経営する洋菓子と和菓子の店のイメージが、どうもしっくりと合わないのだ。

荒地を見つめているうち、山本の頭にひとつのアイディアが浮かんだ―「これならいけるかもしれん」。

彼のアイディアはこうだった。

八幡山を見上げるように、右手に和風づくりの和菓子の店「たねや」を、そして、ふもとの八幡神社につながる道をはさんだ左手に、レンガづくりの、ちょうどおとぎ話の絵本にでも出てくるような、かわいらしいたたずまいの洋菓子の「クラブ・ハリエ」の店を建てる。これなら、緑に囲まれた、だれでもがほっとするような空間が出来上がるにちがいない。しかも、それまで、和と洋とで正反対のように見えた両方の店が、ひとつのイメージにしっくり収まるのではないだろうか。

これが、現在、和菓子の「たねや」と洋菓子の「クラブ・ハリエ」がある、日牟禮ヴィレッジ誕生の瞬間だった。

左|日牟禮たねや / 右|ショーケースに美しく並んだ、たねや自慢の和菓子左|日牟禮たねや / 右|ショーケースに美しく並んだ、たねや自慢の和菓子

まずは、和菓子店「たねや」の方の紹介から。あずき色の地に白く「たねや」の文字が染め抜かれたのれんをくぐると、長いショーケースに、ゆったりとスペースをとって並べられた自慢の和菓子が目に飛び込んでくる。

中でも、自分で作って楽しむ最中「ふくみ天秤(てんびん)」は、人気商品のひとつ。ふつうの最中と違って、最中種(もなかだね―がわの部分)と餡(あん)の部分が別々に包装されている。食べるときにはじめて餡といっしょにすることで、パリパリと芳ばしい最中種のおいしさを楽しんでもらうおうという工夫からだ。他にも、「栗饅頭」や、こし餡をつつんだ「たねや饅頭」、そして、それぞれの季節ごとの味を生かした和菓子が並ぶ。

日牟禮クラブ・ハリエの風景日牟禮クラブ・ハリエの風景

「たねや」の店先をのぞいて、気づくのは、そのガラスケースの大きさにくらべて、並んでいる商品の数が非常に少ないこと。これはお店の方針でもある。お菓子にかぎらないが、人がひきつけられるものは、余計なものを削りぬいたところにこそ、生まれるという考え方からだ。そういった目で、もう一度、たねやのショーウィンドウケースを眺めてみると、うーん、納得ということになるかも。

そしてもうひとつ、向かいにあるのが、「洋」の世界、バームクーヘンのお店として名高いCLUB HARIE?クラブ・ハリエ。お店の中に一歩、足を踏み入れると、とたんに甘い香りに包まれる。目の前には魅力的な洋菓子の並ぶショーウィンドウ。その向こうにはせっせとお菓子を作り上げるパティシエの姿も。

さらに奥へと進むと、四季折々の花々が楽しめる日牟禮ガーデンと共に、オシャレな家を思わせる日牟禮カフェがあらわれる。ここでは焼きたてのバームクーヘンや絶品のケーキ、それといっしょに可愛い模様のマキアートも楽しめる。私が行ったこの日は少し時間が遅かったため、焼き立てバームクーヘンは、なんと前のお客様で完売!・・・うーん残念。

気をとり直して、代わりに「シャア」という名前のケーキを注文。それは、私の落ち込んだ気持ちが一気に晴れるくらいの美味しさ。クラブ・ハリエといえば、すぐにバームクーヘンと思い浮かぶけれど、ぜひ一度、ケーキにもチャレンジを。

それから、今回は体験できなかったけれど、カフェのさらに奥には、あの有名な建築家ヴォーリーズが設計したお部屋もあって、そこで特別にお茶やケーキを楽しむこともできる(前日までに要予約)。ヴォーリーズファンならずとも、きっと最高の時間になるのでは。

左|ヴォーリーズ建築の特別室(リビング) / 右|同じく特別室のハリエライブラリー左|ヴォーリーズ建築の特別室(リビング) / 右|同じく特別室のハリエライブラリー